昨年の最優秀劇団になり、今年は協働プロデュース作品として参加したため、スペ・ドラのトリを勤めることになった遊劇舞台二月病なのだが、いい意味で若手らしいとんがった作品になっていて気持ちがよかった。今までの暗さを払拭して、怒濤のクライマックスはあり得ないほどのポジティブさ。
主人公の失業者が、娘の結婚報告の場をお膳立てするため(結婚のために、ではないところがいい)に、パチンコを通して、さまざまな社会問題をクリアしていく。なんだか、バカバカしい展開なのだが有無を言わさぬ快進撃で一気の解決していく。経営難の喫茶店主、出稼ぎ労働者、認知症介護、親子の愛情問題、貧困家庭。(パンフに書いてあったから、それを転記したけど、ありとあらゆる問題がてんこ盛り。しかも、自分は家庭崩壊して、5年前から失業中) 芝居自体はいつものように暗い話なのに、その終盤のどんでん返しに圧倒された。
中川真一さんは別にこんなふうに上手くいくと安易に構えているわけではないことは話の展開からも明白だ。ギャンブルに勝っても問題は解決しないことなんか最初からわかっている。だが、それでもそこに希望をつなぐという展開を見せることで、ある種の可能性を提示した。もちろん、こんなことは一炊の夢でしかない。