【May「ハンアリ」】信じる【戒田竜治・満月動物園】

スペースドラマ

物語の力を信じている。物語に対してここまでまっすぐに信じている作劇を久しぶりに観たような気がします。

演出は基本的にモノローグ(独白)の応酬によって構成されており、脚本上ダイアローグ(対話)となっているところも、飽くまでもモノローグの応酬が貫かれる。

ダイアローグによる俳優同士の化学反応などには期待していないし排されている。そこまで物語の力を信じられる作劇を実に久しぶりに観たように思う。

チョン・ジョムンという実在した人間の持つ物語を信じたのか、普段からこのスタイルなのかまでは読み取れなかった。俳優の意志と意志のぶつかり合いといったものは眼中に入れず、物語は続いていく。

チョン・ジョムンという人に大いに興味がわいたし高麗美術館に行ってみたくなったので、恐らくまんまと作り手の掌中にあったのだと思う。