【私とスペドラ】「終わるのが寂しいです」【石井テル子】

私とスペドラ~スペースドラマ14年の担い手たち

以前の劇団でスペドラの第1回目にも実は出演してるんですが、ミクロで初めて参加した時は、まだ劇団でもない私の個人ユニットで、でも音楽を取り入れた演劇作品を作っていこうという事だけは、ようやく決めた頃でした。個人としては関わっていてもミクロとして全然横の繋がりがなかったので、もっといろんな人に「Micro To Macro」を知って貰いたいという必死な思いがあったことは覚えています。スペドラは皆さんご存知の通り凄くたくさん「会議」をする演劇祭で。まずは会議、では次の会議で、会議で決まったので・・・もうなんなら「会議こそ全てじゃね」くらいの勢いで会議そして会議です。ミクロは、2010 年から2012年まで3年間参加したのですが、最初の年なんかはもう、前年度からいる劇団に頼りきりだったように思います。でもやってるうちに、最初は、こんなこと此処で決めるん?ええの?・・から段々、ここでこうやろ、いやもっとこうでー!って声出していかんとやりたい形に近づけへん・・と思うようになってて。自分(達)がこの演劇祭を作っていってるんだという実感、躍動する気持ちみたいなものが生まれてきたのです。これはやってみないと本当に分からないことでした。3年目の頃は、初めて参加する劇団の方が、自分が初めて参加した時と同じ気持ちになってはるわぁと感じて、その人と、今どう思ってる?なんて、そっと話してみたり。参加劇団としての居方もどんどん変わってきたなと。そういう意味では、自劇団以外の人と集まって何かを作るという時の自分を成長させてくれたものであったと思います。

また、参加中の2011年に大震災が起こり、その時に何故演劇をしているのかを自分なりに考えました。あの時、参加劇団の皆に、この震災に対して何かをしたいと発したこと、それが形になったことは今でも自分の中で強くあって。演劇が世の中に向けて何ができるのかをガラにもなく深く考えました。別に何もしなくてもできなくてもいいと思います。でもあの時、スペドラに参加していなくて、もし自分だけで公演打っていたのとは違う思いで違うことができたなと今でも思っています。

スペドラはお祭りです。楽しめばいいと思い凄く楽しみました。でも優秀劇団を決めたりと実は闘争心を燃やせる仕組みもありました。本当に面白かったのです。私は。スペドラ参加が終わってから「劇団」にしようと思いましたし。私にとっては今の私のいる場所や劇団と横の繋がり、お芝居とその外を考えるきっかけをくれた演劇祭でした。終わってしまうのはとても寂しくて。別の形で何か始まって欲しい。もし始まったらまた参加したいなと思ってます。
應典院、これまで支えてきてくださったスタッフの皆さん、スペドラを作ってきた劇団、お客様、すべてに感謝を。

石井テル子・Micro To Macro
space×drama 2003・2010・2011・2012参加

石井テル子プロフィール

Micro To Macro 代表 作・演出・役者
演劇と音楽の「生の力=Live感」を生かすバンドの生演奏を取り入れたながら、人間の葛藤と足掻きを描く。
これまでの作品すべての劇中曲の作詞・作曲も手がける。space×drama 2011で優秀劇団選出。

公演情報

應典院舞台芸術大祭space×drama○ アンコール公演&Micro To Macro旗揚げ10周年記念作
Micro To Macro #11
「リトル・ソング」作・演出・作詞・作曲
2017年 7月14日〜17日

公演詳細はコチラ

Micro To Macro劇団サイト

http://micro-to-macro.com