【私とスペドラ】—待つうちは来ず—【中川真一】

私とスペドラ~スペースドラマ14年の担い手たち

遊劇舞台二月病の中川です。2016年にスペースドラマに参加させて頂きました。劇団を旗揚げして5年目でした。
劇団としてスペースドラマに参加することは必ず通りたい門でした。しかし、そのタイミングがいつなのか、僕は二の足を踏んでいました。
大学の演劇部に在籍しながら卒業後に劇団を旗揚げしようと考え始めた頃、初めてスペースドラマという演劇祭を意識して観劇に足を運びました。baghdad cafe’さんの協同プロデュース公演の「ごっこでいいから手をつないでいて」でした。ドラマばかりに固執していた僕にはビーズのクッションごしにルーテーズのヘッドロックをされるかのような衝撃でした。ヘッドロックにはヘッドロックで返すのが礼儀なのですが、いつまでたっても美しいヘッドロックが出来そうになく。このままではバックドロップで返されるだけだと、自分に自信が持てなかったのです。しかし、ある日のことです、僕と同じく二月病の主宰をやっている松原が「来年スペドラ応募するで」と言い出しました。負けず嫌いな僕は「今なのか」という動揺を隠すように「応募しましょう」と、さも「僕も同じこと考えてた。いや、お前より先に、そう考えていた」と言わんかのような顔つきで返事をしました。リングに上がる腹が括れたのはこのときでした。
今ならわかります。自信を持てる日なんか来ることが無い事。自分自身への疑問は募るばかりであると。時期が来るのを待つだけでは、スペースドラマに参加できなかった。三者協同プロデュースに選んで頂いて、今もなお積もる自分への疑問に立ち向かえるのは、スペースドラマを作りあげてきた諸先輩方のおかげです。僕も全力のヘッドロックでお答えします。

中川真一・遊劇舞台二月病
(space×drama2016参加)

中川真一プロフィール

奈良県橿原市の地で生を受ける。2006年から演劇を始める。現在、大阪在住。
遊劇舞台二月病の二人いる主宰のうちの一人であり、作・演出を行う。

公演情報

應典院舞台芸術大祭space×drama○ 参加

遊劇舞台二月病
「Round」

脚本・演出:中川真一
日時:6月23日(金)19:30
24日(土)14:00●/19:00
25日(日)13:00/17:00
●HP:http://nigatsubyou.jimbo.com/